世界の美食家を魅了する日本酒。その核心を探るため、海外トップソムリエ5名が来日し、宮城県・秋田県の酒蔵を巡る招聘ツアーが実施されました。
本ツアーでは、蔵元訪問や発酵文化体験を通して、日本酒の「多様性」「品質」「ストーリー性」の強さを直接体感。最終日には東京都内でトークセッションが行われ、東北を舞台に見えてきた“世界から見た日本酒の現在地”が語られました。
海外トップソムリエ招聘ツアー 概要

実施期間: 2025年11月17日(月)〜21日(金)
主催: 日本酒造組合中央会
参加ソムリエ:
・Andrew Truong(ベトナム)
・Louis Le Conte(フランス)
・Dawid Sojka(ポーランド)
・Gabriel Lucas(スペイン)
・Julio Cesar Kunz(ブラジル)
宮城県訪問|酒造りの“原点”を体感

主な訪問先
- 佐浦(塩竈市)
- 寒梅酒造(大崎市)
- 熊野洞(自然・文化施設)
ソムリエたちは、蒸米・製麹・酒母・上槽といった日本酒造りの全工程を現場で見学。麹の状態、温度管理、蔵人の手仕事が品質に直結する様子を目の当たりにし、
「酒そのものだけでなく、“造る過程すべてが物語”」
という感想が多く寄せられました。
また、酒米を育む田んぼや塩竈神社参拝を通じ、自然環境・信仰・食文化が酒造りと結びついている点にも理解を深めました。
秋田県訪問|技術と研究の最前線

主な訪問先
- 秋田県食品研究センター
- 秋田酒類製造
- 小玉醸造
- 齋彌酒造店
- 天寿酒造
- 出羽鶴酒造
- 秋田今野商店
近代設備を導入した蔵から、伝統製法を守る蔵までを横断的に視察。
さらに酵母・麹の研究現場を訪れ、日本酒が“伝統だけでなく科学に支えられ進化している酒”であることを実感しました。
トークセッション|世界から見た日本酒

ツアーの締めくくりとして11月22日、東京にてメディア向けトークセッションを開催。
各国市場の現状と日本酒の評価について、次のような声が上がりました。
フランス・スイス
- ミシュラン星付きレストランではすでに日本酒は標準的ドリンク
- 多様な香味が料理ペアリングに最適
ベトナム・ポーランド
- 市場は若く、「正しい情報」と「体験の提供」が拡大のカギ
- ストーリー性の強さが決定的武器になる
スペイン・ブラジル
- プレミアム領域は成熟
- 今後はミドルレンジへの普及・カジュアル市場の開拓が成長分野
共通して語られたのは、
「日本酒はワインの代替ではなく、独立した世界観を持つクラフト酒である」
という評価でした。
ペアリングの可能性

海外ソムリエが実際に評価した相性例:
- 純米大吟醸 × 白身魚のバターソース
- 大吟醸 × クリーミーチーズ
- 濁り酒 × デザート
和食だけでなくフレンチ・フュージョン・デザート領域でも高い汎用性が評価されました。
ユネスコ無形文化遺産登録の影響
「伝統的酒造り」のユネスコ登録は
- プロフェッショナルへの強い訴求
- ワインの“原産地呼称”的な価値付与
- クラフト酒市場での認知拡大
へとつながり、海外での日本酒ブランド力を一気に底上げしています。
試飲・交流セッション

交流会では東北を含む日本酒15銘柄を試飲。
蔵元とソムリエが直接意見交換を行い、
- 「酒質の評価ポイント」
- 「各国消費者の嗜好」
- 「輸出戦略上の課題」
などが実務レベルで共有されました。
東北が示す“日本酒の未来”
今回の招聘ツアーを通じ、
- 自然と文化に根差した物語性
- 科学と伝統の融合
- ペアリングの幅広さ
という日本酒の強みが、
まさに東北=宮城県・秋田県の現場から発信されていることが明確になりました。
世界のトップソムリエが「自国で日本酒をさらに広めたい」と語った背景には、
東北の蔵元が積み重ねてきた丁寧な酒造りがあると言えるでしょう。


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